【避難所運営は行政?自治会?】避難所運営の担当とポイントを解説!

語り部活動
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地震や豪雨などの大きな災害が起きたとき、テレビに映るのは体育館に整列する避難者たちや物資の搬入光景。しかし、実際の現場は決してスムーズではありません。

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「避難所って行政が開けるんでしょ?」
「学校の先生や職員さんが全部やってくれるんじゃないの?」

そんな声をよく聞きます。しかし現実は違います。行政職員も先生も被災者になり得ます。家族の安否が分からず、避難所にたどり着けないことだってあります。東日本大震災や熊本地震では、最初に避難所を開けたのは地域の住民や学校近くにいた人たちでした。

つまり、避難所運営は「行政がやる仕事」ではなく、「その場にいる人が始める行動」なのです。

この記事では、

  • 避難所と避難場所の違い
  • 避難所の種類
  • 運営の基本ポイントや注意点
  • ペットや要配慮者への配慮
    などを、防災士の視点でわかりやすく紹介します。

そして結論はひとつ。

「避難所運営は、誰がやってもいい」

完璧を目指す必要はありません。必要なのは“動ける”こと。小さな行動でも、救われる命があります。ではまず、なぜ今「避難所運営」が注目されているのかを見ていきましょう。

第1章 なぜ今「避難所運営」が注目されているのか?

近年の災害では、避難所の運営トラブルが問題になります。

「鍵が開かない」「物資が届かない」「誰がリーダーか分からない」――。
背景には、「運営は行政や学校がやるもの」という思い込みがあります。

しかし、発災直後に行政職員や学校関係者がすぐ現場に来られるとは限りません。
2024年の能登半島地震では、多くの地域で住民自ら避難所を開け、名簿を作り、物資を仕分けた事例があります。
最初に動いたのは特別な訓練を受けた人ではなく、「そこに居合わせた人たち」だったのです。

この現実は、防災の考え方にも影響しています。国や自治体は
「公助(行政)」だけでなく「共助(地域・学校・企業)」の重要性を強調しています。
避難所の運営も、行政任せではなく、地域で担う時代になっているのです。

避難所運営は、特別な知識や資格がなくても始められます。
必要なのは「人を思いやる気持ち」と「協力しようという姿勢」。
誰かが「やってくれる」のを待つのではなく、自分が最初の一歩を踏み出すことが大切です。

実際に東日本大震災の時は私の中学校は隣町の内陸の中学校に避難しました。
ただ、その中学校の体育館には行政どころか先生達もいませんでした。

だから全然違う中学校の私達が先生と一緒に避難場運営を行いました。

その一週間後くらいにやっと行政の方が来ることが出来て、運営を交代しました。

そういった事例もあります。
だからこそ自分で避難所を運営するつもりで動く必要があります。


第2章 避難所と避難場所は違う?意外と知らない基本のキホン

災害時の避難と一言でいっても、「避難場所」と「避難所」は目的が異なります。

  • 避難場所:命を守るために一時的に逃げる場所(例:校庭、公園)。
  • 避難所:被災後の生活を送る場所(例:体育館、集会所)。

さらに、避難所には「指定避難所」「一時避難所」「福祉避難所」などの種類があります。

  • 指定避難所:市町村が開設する公的避難所で、備蓄やトイレ設備が整っていることが多い。
  • 一時避難所:災害直後の緊急避難場所。通常は簡易的な施設や学校の校庭が使われる。
  • 福祉避難所:高齢者や障がい者、乳幼児など要配慮者の受け入れに特化した施設。

用語を整理することで、地域会議や学校防災訓練でも誤解なく話し合うことができます。


第3章 避難所には“いろんな種類”がある

避難所の種類を理解することは、運営を考える上で非常に重要です。主な種類は以下の通りです。

種類対象者運営主体開設条件
一般避難所全住民行政災害発生時
福祉避難所高齢者・障がい者・乳幼児行政・福祉団体福祉要配慮者がいる場合
広域避難所周辺地域住民複数自治体大規模災害時
臨時避難所その場にいる人地域・学校・企業指定なしでも開設可
車中避難スペース車で避難する人地域駐車可能場所を確保

地域によっては、指定がなくても集会所や空き施設を自主的に開放する「臨時避難所」が活用されます。
実例として、自治会館を自主的に開放したり、民間施設と協定を結んで受け入れた事例もあります。


第4章 避難所運営の基本ポイント5選

避難所を運営する上で押さえておきたいポイントは以下の5つです。

  1. スペース確保
    一人あたり最低2㎡を目安に。パーテーションで区画分けするとプライバシーが守られます。
  2. 衛生管理
    トイレ、手洗い、ゴミ処理を優先。感染症予防の観点でも重要です。
  3. 情報共有
    ホワイトボードや掲示板で安否や物資状況を更新。誤情報を防ぎます。
  4. 役割分担
    受付、物資管理、衛生管理、情報伝達など班を作り、それぞれ担当を決めると効率的です。
  5. 要配慮者支援
    高齢者、障がい者、乳幼児、外国人などへの配慮を事前に考えておくことが大切です。

こういった役割分担が最も身近に行っているのが「学生」になります。

小学生の時から掃除当番、給食当番など当番制で様々な役割を与えられて学校生活を送っています。
だからこそ学生や学校の先生方が役割を決めて生活する習慣が身についている為、動きが早いです。

このポイント部分は運営するために最も大事な部分なので深掘りして解説します!

1. スペース確保とゾーニングの課題

■よくある課題

避難者が一斉に押し寄せると、まず問題になるのが「スペース不足」です。
体育館や公民館などを避難所に使う場合、1人あたりに必要な生活スペース(国の目安は2㎡以上)を確保できず、プライバシーのない環境での生活が続いてしまうケースが多くあります。

特に家族連れ、高齢者、女性など、生活リズムや配慮が必要な人が混在すると、空間の区分け(ゾーニング)が不十分だとトラブルのもとになります。

■実際の事例

2016年の熊本地震では、避難者が殺到し、体育館の床一面にブルーシートが敷かれただけの状態が続きました。
周囲の目が気になって着替えもできず、夜もほとんど眠れない。
その結果、体調を崩す人やストレスから体調不良になる人が相次ぎました。

■解決策

・パーテーションや段ボールベッドを備蓄しておく
・「家族」「女性」「高齢者」「障がい者」「ペット同伴」など、区分ごとにスペースを明確に区切る
・可能であれば体育館以外の教室や廊下も活用する

最近では「フェーズフリー型避難所設計」が注目されています。これは、普段の学校や公民館の使い方を災害時にも活かす考え方。例えば、教室は家族や要配慮者向け、体育館は一般避難者向け、図書室は静養スペース…というように、平常時からの使い方を想定しておくと混乱が減ります。


2. 衛生・トイレ問題の深刻さ

■よくある課題

災害初期に最も多く寄せられる不満のひとつが「トイレ問題」です。
水が止まり、仮設トイレも届かない。数が足りず、清掃も追いつかない。女性や子どもは特に使いづらく、避難所で体調を崩す大きな原因となります。

実際に私も3月11日当日の夜に避難した体育館では仮設トイレが1個しかなく、男性は外で用を足し、女性専用となりました。

■実際の事例

東日本大震災の際、ある避難所では「トイレが汚くて使えない」との声が相次ぎました。
結果的に水分摂取を控える人が増え、脱水症状や尿路感染症が多発。
この「トイレを我慢する」という行動が、命に関わる健康被害を引き起こしました。

■解決策

・段ボールトイレや携帯トイレの備蓄を地域・学校単位で進める
・避難所に到着した初期段階で「トイレ清掃担当チーム」を編成
・男女別、夜間照明、防犯ベル設置など安心して使える環境を整える

被災地では「におい」「暗さ」「プライバシー」「清掃頻度」が特に重要視されます。
行政だけでなく、避難者自身がローテーションで管理する「当番制」もうまくいった事例が多いです。
また、手洗い水が確保できないときは、アルコールウェットティッシュや消毒液を配るなど、衛生対策を「生活の一部」にすることが大切です。


3. 食料・水の配分と公平性

■よくある課題

避難所では「誰が、どれだけ、いつもらえるのか」という配分トラブルが起きがちです。
特に、家族人数や要配慮者の有無によって必要量が違うため、「あの人は多くもらっている」といった不公平感が不満を生みます。

■実際の事例

阪神・淡路大震災や熊本地震では、「早く並んだ人だけが物資を受け取れる」「情報が届かず取りに行けなかった」などの混乱が発生しました。
中には、夜間に到着した避難者が物資を受け取れず、翌朝まで食事なしで過ごしたケースも。

■解決策

・避難所運営委員会の中に「物資班」を設置し、配分ルールを明確化
・張り紙や放送で「配布時間・場所・対象」を全員に共有する
・体調不良者や高齢者には「声かけチーム」をつくって個別配布する

また、全国各地の被災地で成功した例として、「名簿管理+個別カード制」があります。
避難者ごとに簡易カードを作り、受け取った物資を記録しておくことで、公平性が見える形になります。
この「見える化」はトラブルを防ぐうえで非常に有効です。


4. ペット同伴の課題と現実

■よくある課題

ペットを連れて避難する人が増える一方で、避難所では「動物が苦手」「アレルギーがある」「鳴き声がうるさい」といった声も多く、ペットを受け入れるかどうかが議論になります。

■実際の事例

熊本地震では、ペット同伴避難をめぐるトラブルが多数報告されました。
体育館内では動物アレルギーの人が体調を崩したり、鳴き声に悩む人が出たりして、飼い主が屋外や車中で過ごすケースもありました。
結果として「車中泊によるエコノミークラス症候群」が多発し、命を落とす悲しい事例もありました。

■解決策

・避難所内に「ペット専用ゾーン」を設け、衛生管理を徹底する
・平時から地域で「ペット同伴避難訓練」を実施しておく
・行政と獣医師会、動物愛護団体が連携し、支援体制を整備する

東日本大震災後に環境省が発行した「ペット同行避難ガイドライン」では、「ペットを家族の一員として避難すること」が基本方針とされています。
つまり、“ペットを連れて避難する”こと自体を否定するのではなく、「どう共存するか」を考える段階に来ているということです。


5. 心のケアと人間関係のトラブル

■よくある課題

避難所生活が長期化すると、どうしても人間関係の摩擦が増えていきます。
物資配分の不満、生活音、子どもの泣き声、価値観の違い――。
小さなストレスが積み重なり、口論や孤立、心の不調につながるケースも少なくありません。

■実際の事例

東日本大震災では、避難所内で「話を聞いてくれる人がいない」「先が見えない」といった声が多く、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を訴える人も増加しました。
また、避難所内でのいじめや差別、役割分担をめぐる不満が表面化したケースもあります。

また、私達が避難した避難所は各教室で集団生活をしてもらっていました。
しかし各教室に「誰が住んでいるか」分からない為、親族を探しに来た人達が
突然、教室の扉を開けるから教室にいる人達はプライバシーが守られず、ストレスを抱えて生活していました。

■解決策

・避難所内に「相談コーナー」や「静養スペース」を設ける
・避難者同士での「お茶会」や「分担制」でコミュニケーションを促進
・専門職(保健師・臨床心理士)による巡回相談を依頼する
・各教室入口に名簿を提示する

特に重要なのは、「孤立させない」こと。
運営側が意識して声をかけ合うだけでも、雰囲気は大きく変わります。
誰かが「困っている」と言い出せる環境づくりこそ、避難所運営の根幹と言えるでしょう。

テーマよくある課題実際の事例主な解決策
スペース確保とゾーニング・避難者が増えてプライバシーがない・要配慮者や家族連れへの配慮が難しい熊本地震では体育館の床にブルーシートのみ。着替えや睡眠も困難で体調不良者が続出。・パーテーション・段ボールベッドの備蓄
・「家族」「女性」「高齢者」「障がい者」ごとの区画設定
・教室・廊下も活用
・フェーズフリー型の避難所設計を検討
衛生・トイレ問題・トイレが少ない・汚い・暗い・水不足で清掃できない・女性や子どもが利用しづらい東日本大震災で「トイレを我慢」→脱水症状・尿路感染症が多発。・携帯トイレ・段ボールトイレ備蓄
・初期段階で清掃当番チーム編成
・男女別
・照明設置など安全対策
・ウェットティッシュや消毒液で衛生確保
食料・水の配分と公平性・配分ルールが曖昧でトラブル・情報が届かず受け取れない人が出る熊本地震・阪神淡路で「早い者勝ち」状態。夜間到着者が食事を取れず。・運営委員会内に「物資班」を設置・掲示
・放送で配布ルールを共有
・高齢者などへ個別配布チーム設置
・名簿管理+カード制で「見える化」
ペット同伴の課題・鳴き声・アレルギー問題・受け入れ拒否により車中泊が発生熊本地震でペット避難者が車中泊→エコノミークラス症候群で死亡例も。・「ペットゾーン」を明確化
・平時からペット同行避難訓練
・獣医師会・愛護団体と連携体制構築
・環境省ガイドラインを共有
心のケア・人間関係トラブル・生活音・物資配分などで摩擦・ストレスや孤立・PTSDの増加東日本大震災で避難所内のいじめ・孤立・うつ状態が多発。・相談コーナー・静養スペース設置
・お茶会など交流の場づくり・専門職(保健師・心理士)巡回・声かけ
・役割分担で孤立防止

第5章 ペットも家族 避難所での“ペット問題”に向き合う

近年はペット同伴避難が増えています。原則として「同行避難(いっしょに逃げる)」が推奨されますが、同じ空間での避難は避難所ごとに判断が異なります。

ペットが苦手な人やアレルギーのある人への配慮も必要です。
対策としては、

  • ペット専用スペースの確保
  • ケージ管理
  • 鳴き声やにおい対策

などがあります。事前にルールを決めて共有しておくことで、トラブルを避けられます。


第6章 避難所運営は行政の仕事じゃない!

災害直後、行政職員も被災していることがあります。学校の先生や自治会長も被災者です。
だからこそ、避難所運営はその場にいる人が始めることが現実的です。

完璧にやる必要はありません。
大切なのは「まず動くこと」。
地域で助け合い、情報を共有し、役割を分担することで、避難所は円滑に運営できます。


第7章 現場で動ける!避難所運営のステップ実践編

  1. 開設前
    鍵や備品の保管場所を確認。開設手順を決める。
  2. 初動
    受付・安否確認・役割分担を短時間で決定。
  3. 物資到着前
    地域資源を活用(給食室、水道、備蓄品など)。
  4. 継続運営
    情報共有会議、班交代制で疲労を防ぐ。
  5. 閉鎖
    片付けと記録を行い、次回に活かす。

簡単なチェックリスト形式にまとめると、現場でも迷わず動けます。


第8章 まとめ|“誰か”ではなく“自分たち”で始める避難所運営へ

災害時、「誰かがやる」ではなく「自分たちでやる」ことが大切です。
小さな行動でも、救われる命があります。
避難所運営は特別な人の仕事ではありません。
あなたが動けば、そこが地域の避難所になります。

語り部講演依頼について

私の経歴や講演歴などについては上記の運営者情報を参照願います。

メディアへの出演も経験あります。上記の動画以外にもYouTubeに上がっています。

講演場所について
・学校(小学生高学年、中学生、高校生、教職員対象が多いですが、その以外の学年にも可能です)
・自治体(市町村の役所が開催するセミナーや自主防災組織からの依頼もあります)
・防災研修会(一般社団法人や有志の集まりの方々からの依頼もあります)
・防災イベント(愛知こども万博などのイベント内でも語り部経験があります)
・企業(企業の防災研修の講師としても依頼があります)

その他活動
・避難訓練、避難所運営訓練の支援(生徒と一緒に訓練をしてフィードバックします)
・防災計画の策定支援(学校、企業の防災計画を一緒に考えます)
・ワークショップ(語り部だけではなくグループワークの実施も可能です)

お悩み中
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  • 学校の防災教育で何から教えたらいいか分からない
  • 社員に自然災害を自分事として捉えて欲しい
  • 防災イベントで誰を講師に呼んだらいいか分からない
  • 実際に経験がある人に防災計画を一緒に考えて欲しい
紺野
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そのようなお悩みをお持ちの方は下記のお問い合わせページからぜひ気軽にお声がけ下さい!
実際にこのブログのお問い合わせから連絡を頂き、語り部を行った経験があります。
防災教育、防災学習に対するお悩みがあればお問い合わせ願います!

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