はじめに|赤ちゃんの命を守る“授乳の備え”は親の防災から
みなさんこんにちは!
東日本大震災語り部&防災士です!
最近のお話ですがとうとう私も第一子が産まれて「親」になりました!
かなり嬉しく、ずっと赤ちゃんを眺めている生活を送っています(笑)
その生活の中でミルク、おむつ替え、夜泣き、沐浴など赤ちゃんは両親の助けが無いと生きられないと痛感した毎日を送っています。
我が家は哺乳瓶を消毒液に漬けて、乾燥させる方法でミルクをあげていますがミルクを作っている時にふと「あれ?災害時に避難所でどうやってミルク作ればいいんだ?弊害が多すぎるだろ!」と思って、自分なりに色々とやり方をまとめて、震災体験をしたママさん達の声も集めましたので今回は是非皆さんに紹介したいと思います!
災害は突然やってきます。そして被災生活が始まると、普段当たり前にできていたことが一変します。
中でも特に難しさを感じやすいのが、赤ちゃんの「授乳・ミルク」の問題です。
- 哺乳瓶が洗えない…
- お湯がない…
- 夜中に泣いてもミルクを作れない…
こうした不安を少しでも軽くするために、災害時の授乳の工夫や準備を本記事で分かりやすくまとめました。
防災士として、そして親として、赤ちゃんの命を守る一助になればうれしいです。
第1章|災害時に授乳で直面するリアルな困りごと
災害時に避難所や車中泊などの非日常の環境では、主にこんな課題が生まれます。
課題 | 内容 |
---|---|
お湯がない | 粉ミルクが作れない・消毒できない |
清潔な水がない | 哺乳瓶の洗浄が不十分になる |
母乳が出にくくなる | ストレスや食事の変化で分泌量が減ることも |
赤ちゃんが飲まない | 環境変化で食欲がなくなることも |
授乳スペースがない | 周囲の視線が気になる、プライバシーがない |
第2章|粉ミルク・液体ミルク・母乳、どれを備えるべき?
赤ちゃんの食事には、「母乳」「粉ミルク」「液体ミルク」の選択肢がありますが、災害時はそれぞれにメリット・デメリットがあります。
粉ミルク(スティックタイプ)
メリット | デメリット |
---|---|
軽くてコンパクト | お湯が必要、作るのに手間がかかる |
コスパが良い | 哺乳瓶の洗浄・消毒が必須 |
液体ミルク(缶・紙パック)
メリット | デメリット |
---|---|
お湯がいらずそのまま使える | 少しかさばる、重い、アタッチメントが必要、やや高価 |
衛生的で災害時向き | 赤ちゃんによっては飲まないこともある |
母乳
メリット | デメリット |
---|---|
いつでもあげられる | ママの体調・食事に左右されやすい、避難所では場所が限られる |
お金がかからない | ストレスや疲労で出にくくなる可能性 |
以上のようなメリット・デメリットがあります。我が家は母乳と粉ミルクの混合ですが、災害時用に缶の液体ミルクを備えています。液体ミルクを飲ませる為には専用のアタッチメントが必要になります。防災リュックに入れる際に少しかさばるというデメリットもあります。
表を見て分かる通り、「良し悪し」がハッキリしているので各家庭に合った備えをして下さい!
第3章|実際に備えておくと安心な授乳・ミルクの防災セット
次にそれぞれの授乳・ミルク用品をどの程度備えたらいいか分かるように1日あたりの量を表にまとめました。
また、必要な用品はどんなものがあるか紹介します!
授乳・ミルク用 備蓄リスト(目安:最低3日分~できれば1週間分)
アイテム | 推奨備蓄数(1日あたり) | 備考 |
---|---|---|
液体ミルク | 4~6本 | 使い切りタイプが便利 |
スティック粉ミルク | 4~6本 | 湯沸かし器・水もセットで必要 |
哺乳瓶(使い捨て可) | 2~3本 | 使い捨てパック式が衛生的 |
哺乳瓶用乳首 | 3個以上 | 赤ちゃんが慣れているものを |
哺乳瓶消毒タブレット | 適量 | 水不要のタイプもあり便利 |
哺乳瓶用ブラシ・洗浄剤 | 少量でOK | 水の使用に配慮を |
授乳ケープ・目隠し布 | 1~2枚 | 避難所でのプライバシー確保用 |
ガスコンロ&ガス缶 | 1セット | ガスコンロ対応のやかんなども必要 |
保存水 | 消毒用2L分とミルク用 | いろはすは湯冷ましの代用として 使用可能 |
以上の道具が必要になってきます。
自宅避難が可能な人は保存水やガスコンロを十分に備えておくことをオススメします。
逆に自宅に被害が及ぶ可能性あり、避難所生活を余儀なくされる方は液体ミルクを備えることで粉ミルクやガスコンロなどを備える必要が無いので防災リュックの中が結果的にかさばらなくていいかもしれません。
液体ミルクの場合はアタッチメント・哺乳瓶・哺乳瓶消毒用の道具になります。ただ、消毒するための水や錠剤は普段から使用していますが「消毒用の容器」は持ち運びが難しいです。
その場合はこのような使い捨ての自立式のジップロックのような袋をオススメします。折り畳んでいる状態だと防災リュックの中はかさばらないし、ある程度の枚数を持っていくことができます。
また、私は「防災リュックに入れやすい」「消毒する必要がない使い捨て」「哺乳瓶一つで済ませたい」という方にこちらをオススメします!これならば吸い口の部分だけ予備を持っていけば良いし、消毒する為に必要な水の量も抑えることができます。
このように意外と調べてみると災害の非常時に使用できる授乳グッズは多くあります!普段の生活から「これの代わりになる商品とかはないかな?」と考えてみると意外と出てくるものです。普段の生活からの意識が大事になります!
第4章|ミルク作りに必要な「水」「お湯」の備え方
清潔な水の確保
- 赤ちゃん用には“飲料水”を優先して確保しましょう。
- 赤ちゃんの飲み物・ミルク用として、最低でも1日2Lは確保したいです。
- 湯冷ましの飲料水としては「いろはす」が代用できます。
お湯の備え方(湯沸かし器・加熱グッズ)
方法 | 備考 |
---|---|
カセットコンロ+ボンベ | 安定・安全・家族にも使える |
ポータブル電気ケトル | モバイルバッテリーと併用可 |
魔法瓶にお湯を保温 | 自宅避難の初期なら有効 |
使い捨て哺乳瓶+液体ミルク | お湯不要、断水時に◎ |
一度カセットコンロを使用してお湯を沸かしてみて欲しいです。その際にガス缶は1日あたり何本使用するのかが分かります。そうすることで非常に持ち出す最低限の本数を把握することが出来るので実際に訓練としてやってみることをオススメします!
第5章|母乳育児ママが災害時に気をつけたいこと
ストレスと母乳の関係性
避難生活では、ママ自身の心身も大きなストレスにさらされます。
特に、睡眠不足や栄養不足、不安によって母乳の分泌が減ったり、赤ちゃんが飲んでくれなかったりすることも。
「出なくなった…」と焦る必要はありません。
大切なのは、赤ちゃんとゆったり過ごす時間やスキンシップを意識的にとることです。
授乳時の安心環境をつくるには?
避難所ではプライバシーがなく、授乳のたびに視線や物理的な距離に悩むママが少なくありません。
そんなときは、授乳ケープや大判の布・ストールが心の支えになります。
とはいえ、それでも不安や不満を感じたという声も多くあります。
ここからは実際にあったママたちの声をご紹介します。
避難所での授乳に関するリアルな声と工夫
周囲の視線が気になって母乳をあげられなかった…
「授乳ケープを持っていたけれど、背中や肩の部分が寒くて…。周りの視線も気になり、授乳がストレスになってしまいました。」
✅解決策:
- ケープ+上着やストールで防寒と目隠しを両立。
- 周囲の協力が得られるように、「授乳スペースが必要」と声に出す勇気も大切です。
授乳スペースが男性避難者と同じ空間で落ち着かなかった…
「同じスペースに見知らぬ男性がいて、授乳のたびに緊張してしまいました。」
✅解決策:
- 段ボールや毛布などで即席の仕切りを自作。
- 福祉避難所や女性エリアへの移動を希望することもできます。
夜間授乳で電気がなく、手元が見えずに困った…
「真っ暗な中で哺乳瓶を組み立てるのが難しくて、こぼしてしまったり赤ちゃんが泣き止まなかったり…」
✅解決策:
- ヘッドライトやクリップライトを常備。両手が空いて便利。
- 小型ランタンやスマホライトでもOK。周囲に配慮しつつ工夫を。
ラジオなのにライトや充電が出来る優れものは次の記事を参考に!
周りが騒がしくて赤ちゃんが飲んでくれなかった…
「赤ちゃんが興奮して泣きっぱなしで、ミルクを全く受け付けてくれず焦りました。」
✅解決策:
- おしゃぶり・お気に入りのタオルや音楽など、日常の安心アイテムを持参。
- 静かな場所へ一時的に移動して授乳するのも効果的。
授乳スペースが足りなくて順番待ちに…
「たった1か所しかない授乳スペースがいつも満員で、泣き続ける赤ちゃんを抱えて待つのがつらかったです。」
✅解決策:
- 自分の布団スペースに即席の“仕切り布”を設置。
- ママ同士で譲り合いや情報交換ができると負担が軽減されます。
福祉避難所に移動して救われたママたちの声
避難所での環境が厳しい中、あとから福祉避難所に移動して心が軽くなったという声も多くあります。
「赤ちゃんが泣いても気にせず過ごせた」
「福祉避難所には赤ちゃん連れの方も多く、“お互い様”の空気があって本当に気がラクでした。」
✅ポイント:
- 赤ちゃんの泣き声に対して周囲の理解が深い
- 他の育児中のママと自然につながれる空間
「布団や畳部屋で寝かせられたのがありがたかった」
「一般避難所では固い床にタオルだけ…。福祉避難所では寝具もあり、赤ちゃんもぐっすり眠れて、私も少し休めました。」
✅ポイント:
- 畳や布団のあるスペースで親子ともに休息しやすい
- 抱っこしっぱなしでない時間ができるだけでも大きな違い
「保育士さんが話を聞いてくれた」
「職員の方が『大丈夫?』と声をかけてくれて、それだけで安心感がありました。」
✅ポイント:
- 専門職(保育士・看護師など)が常駐していることが多い
- 授乳・育児に理解あるスタッフが対応してくれる
「ミルクやオムツを提供してくれた」
「荷物が足りなくなって困っていたけど、備蓄のミルクやオムツをもらえて本当に助かりました。」
✅ポイント:
- 赤ちゃん用品の緊急支援が受けられる場合もある
- すぐに支給されなくても、行政と連携して対応してくれるケースあり
「最初から登録しておけばよかった…」
「“妊婦・乳幼児は要配慮者だから登録できた”と知ってびっくり。もっと早く調べておけばよかった。」
✅ポイント:
- 自治体によっては、妊婦・乳幼児連れ家庭が“要配慮者”として登録可能
- 登録しておけば、災害時に福祉避難所への優先案内が受けられることも
まとめ|母乳育児は「親子の心の防災」でもある
災害時、赤ちゃんを授乳するママの心と体には、想像以上のプレッシャーがかかります。
だからこそ、「人の目」「環境」「物資の不足」などの障壁を少しでも減らす備えが大切です。
母乳が出なくなっても、液体ミルクや使い捨て哺乳瓶を準備しておけば焦らず対応できます。
そして何より、「一人で抱えない」ことが防災の第一歩です。
授乳の悩みも、避難所での不安も、社会全体で支えるべき課題です。
この記事が、どこかのご家庭にとって安心のきっかけになればうれしいです。
第6章|液体ミルクは本当に便利?注意点と備え方
液体ミルクのチェックポイント
チェック項目 | 内容 |
---|---|
赤ちゃんが飲むか | 事前に慣れさせておくのがおすすめ |
消費期限 | 約1年あるが定期的に入れ替えを |
対応乳首の有無 | 乳首が直接つけられるタイプも◎ |
保存場所 | 高温多湿を避けて常温保管 |
いつでも使用可能なので外出先で試しに使ってみるなどをオススメします!またメーカーによっては賞味期限が短いものもありますので購入の際に確認してから購入をお願いいたします。
第7章|先輩ママ・パパたちの体験談
💬「避難所では哺乳瓶が洗えず、紙パックの液体ミルクと使い捨て哺乳瓶が助かりました!」
💬「母乳をあげたかったけど、周りの目が気になって…ケープが心の支えでした。」
💬「避難所の水は確保に時間がかかったので、赤ちゃん用の水は分けて保管して正解でした。」
震災を経験したママさんの中でそれぞれが様々な体験をした方がいらっしゃいます。体験した方のお話を聞くのも大事ですがまずは自分の今の生活から「地震が来て、避難所生活になったらどうしよう・・・」とイメージすることが大切です!
第8章 まとめ「ミルクの防災」は“命のライフライン”
授乳は、赤ちゃんにとって命をつなぐ最重要行動です。
その手段をひとつに絞らず、複数パターンで備えることがカギになります。
最後に、災害時の授乳に関する備えをまとめたチェックリストを載せておきます。
【最終チェック】災害時の授乳・ミルク準備リスト
- 液体ミルク or スティック粉ミルクを3日分以上
- 哺乳瓶(使い捨て or 洗えるもの+消毒手段)
- 授乳ケープ or 目隠し布
- 清潔な水の確保(赤ちゃん専用に2L/日)
- 哺乳瓶用乳首の予備
- カセットコンロまたは加熱手段
- 赤ちゃんが液体ミルクを飲むか事前確認
- ママのストレスケア対策(お気に入りの飲み物やおやつなど)
おわりに
「ミルクが作れなかったらどうしよう…」と心配する気持ちは、ママ・パパなら誰でもあるもの。
我が子を一番に想う気持ちも分かります。ただ、我が子を救えるのもママ・パパです。
事前に“できる備え”を少しずつ積み重ねることで、非常時にも落ち着いて対応できるようになります。
皆さんの我が子を想う気持ちが「防災」に繋がっていることを気付いて頂きたいです。
赤ちゃんを守る準備、一緒に始めていきましょう。
また、災害時の備蓄のお話しだけではなく、「発災した時の命の守り方」が気になる方は
東日本大震災の時に津波と鬼ごっこをして小学生、地域住民と一緒に避難することが出来た私のお話を聞いて下さい!
学校の防災教育、市町村の防災セミナー、企業や病院での防災研修などでの語り部経験があります!
年間で10~15件の語り部実績がございます!
皆さんの語り部依頼をお待ちしております!是非よろしくお願いいたします!!